今日は昔の話をさせていただきますが、お正月なので大目に見てくださいね。

私は小さい頃から、いつも身近にお祖父ちゃん、お祖母ちゃんがいました。
物心つかない頃は両親、祖父母の他に曾祖母もいるという、4世代同居の8人家族でした。
今ではこういう家庭は少ないと思いますが、昔は特に珍しくもなかったんですよね。

私の両親はふたりとも仕事を持っていましたけど、お祖父ちゃん、お祖母ちゃんがいてくれたおかげで、当時話題になっていた「鍵っ子」になることもなく、またこのお祖父ちゃん、お祖母ちゃんというのは、孫には甘々なんですよね。
そんなわけで幼少のころは天国のような楽しい毎日を過ごしていました(≡^∇^≡)

同居していた祖父母の他にも、母方の祖父母もいて、母に言わせると私は母方の祖父に似ているのだそうですけど、この祖父というのが私から見ればスーパーお祖父ちゃんで、私など未だに足元にもおよばないと思います。
このお祖父ちゃんのことは、またいずれ書くことにしますが…

こんな環境で育ったものですから、若い頃からどちらかというと、同世代の人よりずっと年上の人といるほうが気が楽でした。
私の現在の価値観だとか、行動の仕方、その他いろいろな面に強く影響を与えているのは、お祖父ちゃん、お祖母ちゃんたちから教わったことだと思います。

今日は、そんな中でも私が特に強い影響を受けたと思っている、「京都のお祖母ちゃん」と呼んでいた人のことを書かせていただきます。
このお祖母ちゃんは、叔母（叔父の奥さん）のお母さんなので、直接には血の繋がりはないんですけど、小さい頃からとても可愛がってもらい、何かというと「遊びにおいで～」とお呼ばれして、美味しいものを食べさせてもらったり、京都のいろいろな行事に連れていってもらいました。
嵯峨野の古い家にひとりで住んでいた（叔父夫婦は転勤族でしたから…）お祖母ちゃんは、根っからの京女という感じの人で、京都の風習、京風の家庭料理の作り方などもたくさん教わりました。
以前に書いた「京都通り名の唄」や、京都風の住所表記のことも、このお祖母ちゃんに教わったものです。

悩み事などもよく聞いてもらいました。
何かに迷っているときは、両親より先に京都のお祖母ちゃんに電話していたような気がします。
そんなときもお祖母ちゃんは私の気持ちをよく理解してくれて、的確なアドバイスをくれました。
優しい言葉で慰められたこともありましたが、時には厳しいことも言ってくれて、ハッとするようなことも何度もありました。
でもそれが結果的には良い方向に向かっていくきっかけになっているんですから、お祖母ちゃんの言うことに間違いはないと思うようになりました。
今でも悩み事があるときは、「こんなときあのお祖母ちゃんだったら何と言ってくれるのだろう？」と考えるようにしています。

ずっとあとになって、他にちゃんと血の繋がった孫もいるのに、どうして私をこんなに可愛がってくれたのか訊ねてみたら…
ひとりっ子だった叔母が子供の頃は戦争があって何もしてやれなかったから、せめて孫にと思っていたら、叔父夫婦の子供は男の子ばかり、それで私のところにお鉢が回って来たということらしいのですが、私にとってはラッキーなことでした（*´∇｀*）

京都のお祖母ちゃんのいちばんの思い出は、「十三詣り」に連れて行ってもらったことです。
私が11歳の年のお正月、お祖母ちゃんが突然「着物こさえたげまひょ」と電話して来てびっくりしたのですが、春になるとまた電話で「十三詣りがあるから遊びにおいで」と電話がありました。
遊びにおいでと言われても、4月13日は平日で学校があるし…
幸いにも十三詣りは3月から5月までならいつでも良いので、春休みを利用して少し早い4月の始めに行きました。

「十三詣り」は嵐山の法輪寺の行事で、その年数え歳で13歳になる男子女子がお詣りをして、虚空蔵菩薩から知恵を授かるというものです。
数え歳13歳といえば、昔は元服の歳頃、十三詣りも成人式のようなものだったのでしょうね。

お祖母ちゃんに作ってもらった黒地に銀糸の桜模様の着物（なんと私好みな～）を着せてもらって、薄く化粧までしてもらい、ウキウキ気分で桜満開の嵐山へ歩いていきました。
法輪寺でお詣りを済ませ、ふたたび渡月橋を渡るとき、お祖母ちゃんから
「この橋を渡り切るまで、後ろを振り向いたらあかんのえ」
と言われましたが、「あかんのえ」と言われると余計に振り向いてみたくなるものです。
そこをグッと我慢して、前だけを見ながら渡り切ったとき、「ああ、これが大人になるということなのかな？」と少しわかったような気がしました。

あの日、緊張して渡った渡月橋。
今では京都に行くたび、お気楽に散歩していますけどね。

こっちゃんはまだ数えで9歳だけど、十三詣りしてみるかな？

ちゃんと前向いて歩かなあかんえ(*´∇｀*)

京都のお祖母ちゃんはもう何年も前に亡くなり、お祖母ちゃんが住んでいた家は今は別の人が住んでいます。
でも嵐山周辺を歩いていると、あの日のことが今でも鮮明に思い出されます。
京都の住人ではない私が十三詣りに行っても良かったのか、今でもわかりませんが、お祖母ちゃんからもらったたくさんの思い出のひとつとして、私にとっては大切な宝物です。

広島に生まれ育った私ですが、その生まれ育った家ももうなくなってしまった（20年ほど前、道路拡張のため立ち退きになり、私の生家は取り壊されてしまいました(ﾉ_-｡)）今、「故郷はどこですか？」と訊ねられたら、「京都・嵯峨野」と答えたいと思っています。

こっちゃんは、帰りもちゃんと前を向いて歩きました。

京都のお祖母ちゃんのこと ～わんこと一緒に嵐山散歩～

京都のお祖母ちゃんのこと～わんこと一緒に嵐山散歩～