花は9月の上旬頃に、葉の陰に隠れるようにして咲きます。

こんな可愛い花です。
花径1cm程度の、とても小さな花なんですよ。

雄花と雌花があり、これは雌花ですが、私の指と比べてみてください。
ちっちゃいですね。

花が終わると、雌花の中心の丸い部分が膨らんで実になります。

花は小さいですが、実は5cm程度の大きさになります。
大きいものは7cmくらいになるものもあるそうですよ。

実はこれもハーブなんです。
韓国には五味子茶というのがあって私も大好きなんですが、ビナンカズラはその五味子の近縁種で、漢方では南五味子と呼ばれます。

赤く熟した果実を収獲して細かくくずし、日干しで乾燥させ、それを煎じて飲むと滋養強壮、鎮咳に効果があります。
切り傷には、新鮮な葉を揉んで傷口に貼ると効果があります。

蔓は粘液質で、昔はこの粘液を抽出して、武士の整髪料として使われていました。
この液で髪を整え髷を結うと良い男になる、ということで美男葛と呼ばれるようになりました。
花は目立たないのに実のほうはよく目立つということから、別名をサネカズラ（実葛）とも言い、万葉歌人や平安貴族たちに歌に詠み込まれています。
「サネカズラ」は「寝る」という意味の掛け言葉になっているのですが、ただ横になって寝るというわけではなくて…(;^_^A
例えば百人一首25番、三条右大臣（藤原定方）の歌に

　　　名にしおはば　逢坂山の　さねかづら
　　　　　　　　　人に知られで　くるよしもがな

まぁ、こんな露骨な誘い方も、和歌にすれば優雅になるというものですね(´m`)